フィードバックとは何をする場なのか

エンジニアのコト

私は社会人3年目のエンジニアです。社内はフラットな組織など上下関係を意識させないような雰囲気の環境で働いています。そのため、社員間でフィードバックし合う機会があります。その際に、フィードバックは重要と言われながら、どうすれば良いかわからないと思うことが多いのではないでしょうか?

私自身も難しさを感じ、フィードバック入門という本を読んでみました。そこで得た知識をもとに、以下のような疑問を解決できたらなと思います。

  1. 何故フィードバックが難しいのか
  2. フィードバックは何をする場なのか
  3. 効果的にフィードバックを受けるため何をすれば良いのか

何故フィードバックが難しいのか

結論からお伝えすると、

  • 目標を立てるのが難しくなったため
  • 改善点を把握するのが難しくなったため

です。このような困難化の背景には「成果主義」「転職は当たり前」「仕事とプライベートは分けたい」といった考えが多く広まったことにあります。一昔前では「年功序列」「長期雇用」「豊富な社員交流」といった考えが一般的だったように思えます。

「年功序列」の環境では、数年後の自分がどのような姿になっているかを上司に当てはめることができ、必然と上司がロールモデルとなっていました。5年後にはこのような立場・役職・給与になっているんだなと容易に想像がつくため、今何をすべきかが明確にわかりました。一方で「成果主義」となったことにより、必ずしも勤続年数が多い方の働き方が参考とならないようになりました。そのため、何をすべきかを自分自身で考える必要があり、目標を立てるのが難しくなりました。

さらには「長期雇用」から「転職は当たり前」といった考えが広まったことにより、一度は見つけたロールモデルが、近くから離れていく機会も増えました。そのため、ロールモデルがどんな働き方をしていたかを知る機会も減ってしまい、さらに目標を立てるための情報が少なくなってし舞うことになります。

最後に、「豊富な社員交流」があったことにより、それぞれの性格、目標、行動などをじっくり観察し、改善点などを把握することができました。仕事終わりに飲みに行ったり、休日も遊んだりと、会社の枠を超えて交流をすることでお互いの性格や考えていることを知ることができました。一方で、「仕事とプライベートは分けたい」という考え方が広まったことにより、お互いのことを知る機会が減り、じっくり観察することが難しくなり、改善点を把握することも難しくなりました。

このような背景から、目標を立てるのが難しく、改善点を把握するのが難しくなったため、フィードバック自体が難しくなっているという現状があります。

フィードバックは何をする場なのか

フィードバックは、

  • 情報通知(ティーチング)
  • 立て直し(コーチング)

の2つの要素から成立する場のことです。情報通知とは、たとえ耳の痛いことであっても、その人のパフォーマンスに対して情報や結果をちゃんと通知することです。立て直しとは、その人が自身のパフォーマンスを認識し、自らの行動を振り返り、今後のアクションを立てる支援を行うことです。

フィードバックと聞くと、情報通知のことのみを想像していましたが立て直しも含めてフィードバックというのはなんか納得です。また、情報通知は耳の痛いことであっても伝えるとありますが、なかなか伝えにくいもの。では、どのようなプロセスでフィードバックを行えば良いのでしょうか?

事前と事後も含めてフィードバックのプロセス

フィードバックを行う際に重要なことは「フィードバックから始めない」ことです。それは、フィードバックを行う時に必要な情報として、SBI情報と呼ばれるものがあるからです。

フィードバックに必要な情報「SBI情報」

  • S = シチュエーション:どんな状況で
  • B = ビヘイビア:どんな行動が
  • I = インパクト:どんな影響を及ぼしたのか

これらの情報はフィードバックの場のみから把握するのは難しいため事前の情報収集をする必要があります。事前の情報収集として効果的な方法の一つとして1on1があります。1on1を用いて、「何が良くて何が良くなかったのか」「抱えている問題をdのように解決するのか」などを聞くことで、ある程度のSBI情報を収集することができます。しかしながら、1on1の機会が年に1~2回ではSBI情報をうまく集めることができません。実際に私も数ヶ月前のチームメンバーの目標を忘れてしまっていることも多くあります。そのため1on1のような機会は短時間で良いので頻繁に行うことが重要らしいです。

また、フィードバックは「フィードバックの場だけで終わらない」ことが重要です。フィードバックの場でアクションを立てても、数日後、数週間後には忘れてしまいます。そこで、組織のメンバーでお互いをフォローし合い、フィードバックの場で立てたアクションを忘れないようにすることが大事です。

まとめとして、フィードバックは以下のようなプロセスを経て行うものです。

  • 事前の情報収集:SBI情報集め
  • 情報通知:SBI情報から耳の痛いことを伝える(ティーチング)
  • 立て直し:振り返りによる探究と、今後のアクションを立てるを支援する 
  • 事後のフォロー:アクションを意識させ続けること

効果的なフィードバックを受けるために何をすれば良いのか

先程までは、自分自身がフィードバックをする側としての話を書いてきましたが、ここではフィードバックを受ける側の話に触れたいと思います。

私自身「フィードバックが少ないなぁ」「ポジティブフィードバックばかりで、本当のことがわからない」といったモヤモヤを抱えています。このモヤモヤを解決するためにどのようなことをするのが良いかを自分なりに考えてみました。

フィードバックを受けるためには、

  • SMARTの法則に従って目標を立てる
  • チームメンバーを巻き込めるような目標にする

のように目標の立て方を工夫することが重要だと考えています。

SMARTの法則とは、SMARTの頭文字の5つの要素を含めることで、達成しやすい目標を立てることができるフレームワークです。効果的なフィードバックを受けるためには、特にM(Measurable:計測可能)とA(Action-oriented:行動志向)が重要だと思っています。計測可能な目標とすることで、パフォーマンスを客観的に見せることができます。例えば、「より良いテストコードを書けるようになる」という目標だと客観的に達成されたのかどうかがわかりません。また、より良いテストコードを書くためにどのようなことをその人が行動していくかも想像するのが困難です。一方で「自分が担当した部分のテストコードのカバレッジを90%以上にする」とあれば、客観的にみても達成できたかどうか明らかです。また、その人が目標を達成するために、担当箇所のプログラムに関して行動していくということが明らかです。SMARTに従って目標を立てることでどのような行動をするのか(SBI情報のB)を示すことができます。

次にチームメンバーを巻き込めるような目標とすることです。チームメンバーを巻き込むことでどのような影響を与えたか(SBI情報のI)を感じさせることができるフィードバックをもらう相手の明確化といった効果を得ることができると思います。例えば「TOEIC800点を取る」という目標だと、チームメンバーに、組織に対してどんな影響があるかがわかりません。また、どのような行動をしたかも見えないためフィードバックしてもらう対象も不明確です。一方で「半年後のTOEIC受験で800点を取るために勉強会を開催する」とあれば、勉強会に参加してくれた人がフィードバックをもらう相手となり、どのような変化があったかがインパクトにあたります。

もちろん1on1などの場で、自身のことを伝えることは重要ですが、それ以外の方法でもSBI情報を様々な人に伝えることでフィードバックをもらいやすくする工夫ができると思います。

最後に

私自身はこの本を読んで、目標を立て直し、次のフィードバックの場でどのようなフィードバックがもらえるかを楽しみにしているところです。また、他のチームメンバーのSBI情報も集めた方が良いなと思っているところです。

この記事が効果的にフィードバックをするための役に立てたら幸いです!

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